明日はどこへ

漂泊の記録

北ア・鹿島槍ヶ岳鎌尾根 20220424

【形態】単独

【対象】雪稜

【場所】長野県大町市北アルプス鹿島槍ヶ岳鎌尾根

【特徴】ダイレクト尾根の予定だったが、真っ暗な中で北俣本谷から左の谷に入ってしまい、復帰できないまま鎌尾根を登ることになってしまった。上部はシュルンドが続く。稜線に雪はなく、アイゼンなしで歩いた。もう今シーズンの雪稜は終わりですな

【日程】2022年4月24日 大谷原(1070m)1:40~北俣本谷最上部の堰堤(1460m)3:00~稜線(2720m)7:20~7:50南峰(2889m)8:10~赤岩尾根分岐~西沢~11:50大谷原

 

真っ暗な中出発。駐車場には数台の車があった

北俣本谷にもだれか入っているのかと気になる

林道のゲートのところで急にストロボがたかれ

息が止まるほどびっくりした

帰りに見ると、林野庁の野生生物調査だそう

ストロボをたかなくても撮影できる超高感度カメラにしてほしい

 

以前、東尾根を1人で日帰りで登った時に

樹林帯上部で正体不明のギラギラする光に追いかけられたことがある

その後は鹿島の尾根を真夜中に歩くのはトラウマになっている

追いかけられた時はちょうど満月が稜線の向こうに沈んだ後

日の出までの短時間の真っ暗闇での出来事だった

昼頃に大谷原に戻った時には車は自分のものしかなく

その日の入山者はいなかった

あのギラギラする光ななんだったのだろうかと今も思う

その後しばらくは1人での真夜中歩きはできなかった

 

今日もまたストロボの光のせいで気持ちがひくひくしてきた

こんな時は

得体のしれないものが目に入らぬように

下を向いて歩き続けるに限る

でないと帰りたくなってしまうから

そのうち林道終点にある巨大堰堤到着

中のトンネルを通り北俣本谷の右岸沿いを進む

いくつか堰堤を雪伝いに越え

巨大堰堤にぶち当たった

左右とも岩壁のため、まいていけそうにない

北俣本谷も何度か通っているが

こんな場所あったっけと頭をひねっていると

堰堤本体に鉄製のはしごがついていた

高さ7、8mはありそうだが、下を向かずに登っていく

最後の堰堤のはしご。雪の重みで斜めっている

上部はまっさらな雪面

鎌尾根末端の1600m地点を見過ごさないように気を付けて歩いていく

しかし高度計が1650mになっても末端が出てこない

おかしい

1600mまで戻ると

ちょっと急なルンぜが左岸に出てきた

尾根の末端らしくはないが

これが北俣本谷なのだろうと見込みをつけて上がっていく

傾斜が緩むと

上部には広大なデブリ地帯が広がっていた

東の空が徐々に明るさを増してきて

やっと違う場所を登っていることに気づく

あーあ、沢と尾根を間違えた

東尾根の向こうに太陽が昇ってきた


まだ周囲は見えないが鎌尾根なのだろう

登りながら本谷がどこか探すと

右の遥か下に茶色のデブリが流れているのが見えてきた

このまま右に尾根の斜面を下っていくと合流できそうだが

もしかしたら岩壁で阻まれるかも

ダイレクト尾根は登ったことはあるけど

鎌尾根はないので

このまま登り続けることにした

本谷を見落とさないようにするには

最後の堰堤を渡った後にぎりぎりまで左岸に寄って歩くべきだった

登るはずだったダイレクト尾根。雪面にクラックが水平に入っている

鎌尾根を登っていくと

だんだんダイレクト尾根が見えてきた

中盤で水平方向にまっすぐクラックが入り

底雪崩が起きかけているのが見える

雪の状態は悪そうだから

鎌尾根で良かったかもと負け惜しみで考えてみる

こちらも上部に近づくにしたがってシュルンドが多発

不安定な雪壁を草付きまで下りまた登る

という動作を繰り返す

最も大きなシュルンドではダブルアックスで

傾斜80度、5、6mの雪壁登りするところもあった

今日は高曇りなので雪が安定していて助かった

ぐさぐさなら敗退確実だったろう

途中で東尾根を登っているパーティが見えた

シュルンド多発警報発令中

気持ちの良い尾根。シュルンドさえなければ

深さ5mはありそうなクレバス。あと20センチ幅が広がると渡るのが困難になる

最も大きかった割れ目

ダブルアックスで行く



尾根への乗越地点には雪庇はなく稜線着

稜線に雪は少なく、夏道が出ていたためアイゼンを外し

そのまま頂上まで

主稜線も西斜面も6月並みの雪の少なさだろう

今年は寒い冬が続いたが

4月の初夏の陽気で溶けてしまったようだ

youtu.be

計画では北俣本谷を下る予定だったが

雪の状態が良くないことから赤岩尾根下山に変更

小休止の後

主稜線を行き、赤岩尾根の分岐から不安定なトラバースへ

早々と西沢に入りまっすぐ下降

昼前に大谷原に着いた

らいてうの夫婦。オスは夏毛に変わりかけている

鎌尾根は真ん中の雪稜。下部は傾斜35度位、上部は45度位で全体に緩い