明日はどこへ

漂泊の記録

中ア・中田切川本谷~空木岳20230902~03

 

【形態】単独

【対象】沢登

【場所】長野県駒ケ根市の養命酒工場上の林道終点(1090m)~空木岳(2864m)

【特徴】冬が寡雪で猛暑の今年はチャンスと思った通り、雪渓はすでになく完登できた。しかしV字谷にかかる滝のまきに4時間かかり、ヘロヘロになった。岩も、斜面もボロボロで、篤志家向きの沢かも。

 

【日程】▽2日 林道終点5:20~6:00荒井沢出合(1090m)~大荒井沢出合8:00(1325m)8:10~12:00ゴルジュ入り口12:10~13:30滝場~17:30滝上のテンバ(2190m)

▽3日 滝上のテンバ5:20~6:30上の二俣(2400m)~9:00ハイマツ地帯~9:30駒峰ヒュッテ前登山道~9:40頂上10:00~12:10マセナギ(1980m)~16:30林道ゲート

 

【2日】

本谷と荒井沢の出合。水が少ない

卵岩のゴルジュをまく

林道ゲート前にある2台ほどの駐車スペースに駐めて出発

40分ほど歩き終点から川に下りる

ちょうど中田切川本谷と荒井沢の合流点だ

数年前に大荒井沢に行った時よりはるかに水量が少ない

前回は梅雨雨日、今年は猛暑でこれだけ違うんだ

歩きにくい河原を進むと流れは左へ右へと曲がり

2、3mの小滝が2つ出てくる

横の岩を簡単に越えていく

またしばらく歩き河原が狭まってくると最初のゴルジュ

巨大な怪獣の卵のような真っ白い楕円形の岩が滝の真ん中にはまっている

前回はグズグズ斜面のまきで悪かった覚えがあるが

入渓者が増えたようで踏み跡が付いている

ピンクのテープの残置も

ここにもマーキング好きな山屋が出没したようだ

犬じゃないんだから何のためにマーキングするのだろうか

自分で考えながら登るのが沢登りの楽しさ

わざわざ道案内するのはやめてほしい

ごみにもなるし

大荒井沢出合。ここから初めての谷を行くことになる

次の滝。なかなかきれいな滝です

登れそうで登れない3mほどの滝。まいた後は懸垂で降りた

 

そこからひたすらゴーロ

左岸の斜面が大きく崩れた逆S字カーブを曲がると間もなく大荒井沢出合

初めての小休止の後、河原を歩いて行く

すると、ゴルジュになり本谷中流部で初めての滝

これは登れないなあ

ということでまきにかかる

両側とも登りにくそうだがガラ場を上がっていく

でもあまり危ない所もなく滝の上流に歩いて下りられた

間もなく右岸に支流を分け

本谷上流の先の方にV字谷が見えるようになる

小滝を1カ所登れずまくが

歩いて下りられず灌木で5mの懸垂

この先、手がかかりそうな予感がするなあ

V字谷最初の滝を越す。渋い登り

しばらくゴーロを行くと・・・

急峻なV字谷になる

 

またまたゴーロを上がっていくとV字谷ゴルジュの入り口に着いた

巨大なUFO型のハング岩がV字谷の真ん中に挟まり

水流が左右の壁際から2手に分かれて落ちている

高さは4、5mぐらい

足や背中から落ちたら痛いだろう

もしかしたら遺体になるかも

気をつけ登りたいが、いったいどこから登れるのか

 

ザックを降ろし片っぽの垂壁側を試登

いいところにカチがあるが一歩登るとカチが欠けてしまった

これは脆い。こちら側は落ちたらただではすみそうにない

もう片っぽは水滴の落ちるぬめった斜面を登りハング越え

こっちも岩が脆そうだから心配だが、ここしないだろう

ザックを背負って滑らないよう気をつけ

クラックの入った岩に力を入れないように慎重に乗り越す

ホッ、なんとか行けた

その上部が巨岩のゴーロが続いているがしばらく滝はなさそうだ

景色はいいが、どこからまけるのかと不安になる

滝が見えてきたが、まけそうなラインが見つけられない

滝場の前まで来たが、どこからまいたらいいのやら

 

 

登った方がいいのか、戻った方がいいのか・・・


右岸に支流を見てさらに進むと

本ちゃんの滝場が見えてきた

10~40mぐらいの4~5つの滝が続いていて

両岸はゴルジュで逃げ場はなさそう

最初の滝の手前に急なガリーが走っていて

そこを登ってまくことにした

まくのに時間がかかることを予想し

プラティパスに水を1リットル汲んだ

こんなところからまくしかないのか?頭の中は疑問符だらけ

 

ガリーに入ると、持つ岩すべてが抜け落ちそうなほど脆い

数10m上には大きな岩でふたをされていて

そこは抜けられそうにない

右の斜面を見ると

堅そうな段々になった岩場が上方に続いていそうに見えた

ということで右に逃げて

3級程度の岩壁を細い灌木を使いながら上がっていく

しかし上がるにつれ傾斜はきつくなり

木が覆い被さって下から見えなかったところはハングになっていた

でも絶妙なところに直径2㌢ぐらいの灌木があり

木を使ったモンキークライムで上部の緩斜面に

そこから最初のガリーに斜めに下りて行って復帰

まき始めてここまで1時間半かかったが

まだ50~60mぐらいしか登っていない

ガックリ(T_T)

最上部の滝ははるか彼方

まだまだ滝の手前。もうグロッキー

 

気を取り直し、ガリーを直上

砂や砂礫の急斜面になり登れなくなって右の草斜面に逃げたが

草の根元を握っただけのトラバースとなる

やっと尾根状に出るが、またすぐに進めなくなり右往左往

本谷の滝が全然近づいて来ない

岩場に突き当たると上へ上へとまくようにしていたら

高さ20m以上のスラブに突き当たり身動きが取れなくなった

もう時刻は16時半

ガスも湧いて薄暗くなってきた

このままだとビバークかもと焦る

とりあえず、スラブ壁の下に立てそうな緩傾斜地があるので

そこまで懸垂1発30m

さらに右手の斜面を登り小尾根を越すと

背丈以上の草が生える緩斜面に出た

大滝の水音はもっと下の方から聞こえてくるから

この辺りで下って行けば落ち口に出られるかも

草をつかんで下りていき、5mぐらいの岩場をクライムダウン

懸垂せずとも河原に下りられた

良かったあ

ちょうど空木方面の右俣と仙崖嶺方面の左俣の分かれるところ

時刻は17時半

まき始めて4時間もかかった

もうへとへとです

ということでこの周辺でビバークできるところを探したら

右俣の左岸に1人が寝られる程度の草地がありツエルトを張った

たき火ができるように木も集めたが

疲れすぎていてたき火をする気が起きず

ガスで水を湧かして夕食を食べすぐに寝た

何とかクライムダウンで滝上の河原に降りられた。苦闘した斜面を振り返る

二俣の左岸台地にツエルトを張った

 

 

【3日】翌日も長丁場を予想し明るくなって間もなく出発

前夜はスーパームーンから2日後ということもあり

22時半ごろから月が煌々と照って余り寝られなかったため

体力が続くか心配だが

1歩ずつでも進まないと始まらない

明るくなってすぐ歩き出すが、昨日の疲れはあまり残ってないのはラッキー

すぐに小滝が続くようになる

10mほどの滝がでてくる。まだ朝早く体の動きは悪いから冷や冷や

 

右俣にも予想通り雪渓はなし

ガラガラの急斜面を岩崩れに注意しながら登って行くと

10数mの滝が登場

右側の岩場からクリア

その上にも滝があるが

簡単に越えると

ガラ場が続く左俣と、すぐ滝のある右俣に分かれる

滝が続くが簡単

上の二俣のような地形。右にルートを取った

すると、すぐにシャワー滝を登ることになる

youtu.be

チョックストーンを頼りに、滑りやすい左のスラブに気を付けて登る

水流は右俣にあるので、素直に右に進んでシャワーを浴びながら登る

朝イチのシャワーは辛いものだが

今日は朝から暑いので苦にならない

その上はさらに急になり岩登り

スラブ壁をレイバック気味に越えていくが滑りやすくてヒヤッとする

急なガリーを直上していくと小尾根に出た

あれ、沢筋を間違えたかなと思ってよく見ると

小尾根の草付きに踏み跡がついている

間違ってこの沢筋に入り登ってしまった人が多いのだろう

踏み跡にはカモシカの足跡がたくさんついていた

最近は入渓する人は少ないはずなのに踏み跡がしっかり残っているのは

カモシカ君たちが整備してくれているからだろう

駒峰ヒュッテから飛んできたと思われる古い案内看板が落ちていた。拾ってヒュッテに届けてあげた

樹林帯の踏み跡をたどるとガレ、ザレの斜面に出た。これを登っていく

振り返ると黒覆尾根の奇怪な形をした山が見える

ハイマツ漕ぎの始まり始まり~♪


踏み跡を外さないように小尾根から樹林帯を行くと

右股上部の沢筋に出て

そこを上がっていくと

駒峰ヒュッテ南方のハイマツの薮にぶち当たる

そこから30分のハイマツこぎで縦走路着

空木の頂上まで行き

マセナギまで登山道を下りて、荒井沢に下降

林道ゲートまで歩いてゴールした

2日間で24時間ぐらいかかり

脚も心もボロボロになった

お山の大将

お疲れさまでした、と独り言