明日はどこへ

漂泊の記録

中ア・木曽川水系滑川奥三ノ沢 20230917~18

 

【形態】単独

【対象】沢登

【場所】長野県上松町の滑川奥三ノ沢~三沢岳(2847m)

【特徴】それぞれの滝は大きいが、メジャールートだけあって、まき道は明瞭。人の入らない台高の無名沢よりはるかに簡単かも。岩も堅く、リスクが小さい快適沢といえるが、原始的な沢登りの面白さはあまりない。前半の二俣の滝を巻くところのガリーはバランスが悪い。ロープを使ったのは登り1回、懸垂1回

【日程】▽17日 上松A登山口(1220m)5:30~奥三ノ沢出合9:00(1840m)9:10~13:00二俣にある直瀑の落ち口~15:15テン場

▽18日 テン場5:20~8:10三沢岳頂上8:40~宝剣岳~15:00上松A登山口

 

【23日】明るくなってから出発

敬神の滝小屋をサクッとすぎ

最後の堰堤から入渓。増水で敗退した7月と比べるとはるかに水が少ない

というか渇水なので水流がか細い

奥三ノ沢はどこまで水が流れているのか不安になった

三ノ沢出合とスヤマ尾根末端を越えると、河原も少し歩きやすくなる

しばらくすると正面に宝剣のツノツノした岩場が見えてくる

宝剣の稜線が近づき、巨岩ボルダーがあるところが奥三ノ沢の出合いだった

出合は狭いが、すぐ正面にF1が見えている

逆層で登りにくそうだが、そんなに大きくないなあというのが印象

もちろん登らず巻き上がるが、踏み跡は明瞭で簡単に落ち口に下りられた

奥三ノ沢出合にあるボルダー

最初の滝。まきまき

最初の滝の落ち口から滑川の河原を見る

2つ目の滝。これは最初よりも大きそう。まきは簡単

2つ目の滝の落ち口。気持ちがいい

気持ちのいい滝登りが続く

二俣にある左俣側の滝。右のエプロンを登った



するとすぐに次の滝。これは最初の滝より大きい

もちろん巻き上がるが、ただ踏み跡をたどるだけで、楽々落ち口に

そこからしばらく滑滝を登ると、二俣に至る

左は傾斜が強い滝、右は逆層の滑滝

水量から言って、左が本谷だろうが、どこから登ればいいのだろう

左の滝の右側の岩にクラックが入っており、パートナーがいれば登れそう

今日は1人のため巻き上がる予定だが、どこから登って行けるのか

右俣の左岸を試登が、すぐハング岩に阻まれ断念

あとは、左右の滝の真ん中のスラブを登るしかなさそうだ

岩くずによるスリップに気をつけてスラブを直上し

木が生えているところまで登ると、踏み跡が出てきた

ここを登る人が多いのだろう

右俣は上部が逆層で悪そう

エプロンをスリップに気を付けて登り、立木のモンキークライムでガリー入り口へ。ガスが出てきた

ガリーの登り。簡単そうに見えるが、バランスは悪く、スリップしそう。ロープを付けた

二俣の左俣側の滝の落ち口から下をのぞく。雨が振り出さなければいいが・・・

 

 

2mほどの垂直岩を木にぶら下がったモンキークライムで越すと、土のガリーに出る

その上は5mぐらいで岩場を抜けるが

ホールドは少なそうで、上部にリングボルトが打ってあるのが見える

迷った末、ガリー入り口のピナクルに支点を取り、ロープを付けることにした

リングボルトに支点を取るが、スタンスはぬめっていて滑りやすい

ロープを使って良かった

その上に赤エイリアンがばっちり決まって、ガリーをクリア

ガリー出口に細い木があるが、さらに5mほど上の太い灌木で支点を取って懸垂

ザックを背負って登り返した

ロープをしまい、ガサガサ斜面を滝の方に向かって行くと

崖が出てきて断念

灌木まで戻って右へ行こうとすると、破砕帯に突き当たりこれも行けそうにない

まっすぐ上はただの薮だし、どこだろう

危ない場所は避けたいので、薮を直上に決め急斜面を登って行くが

枝の目つぶしを何度も食らう

ある程度上がると、滝の方向に行けそうな傾斜になったので

ガサガサ斜面を斜めに下るように行くと踏み跡が出てきて、滝の落ち口に出た

ロープを使用したため、この滝だけで1時間以上はかかり

上流も下流もガスで覆われてしまった

上部は左右の壁が迫ってくる

登れそうだが、滑りそうでもある

奥三ノ沢で最も大きそうな滝。途中までは登っていけそうだが・・・

懸垂で沢に復帰すると、気持ちのよい河原

これはまけそうにない。そういう時はよーく観察

ちょっとシャワーを浴びるが簡単

 

小休止の後、狭まった沢を上がっていくと、20mぐらいの斜瀑

簡単に登れそうだが

落ち口がコケ付きのナメになっていて滑りそうなため、横の岩場からクリア

その次は50~60mの斜瀑。中間部までは登って行けそうだが

上部が急で手がかりもなさそうなので、まくことに決定

小さな沢沿いに上がっていくが薮に突入してしまい、右往左往

たぶん次の滝もそのまま巻いて、10mの垂壁の懸垂で沢に戻った

その上はゴルジュのようになっているが

左右の尾根は格段に低くなってきて圧迫感は少ない

ガスも晴れて、気持ち良く遡行していくと、流れは右に曲がり次の滝

左右は壁のため、水流近くを登るしかないだろう

そういう時はよーく観察

水流を浴びて中間まで登り

その後はアルパイングレード3級程度の岩場を登ってクリア

斜瀑をいくつか登ると、40m弱の傾斜のある滝にぶつかった

時刻は15時過ぎ

もうそろそろテン場を探さないとと思ってよく見ると

滝の手前右岸の草むらにテン場を切った跡とたき火の痕もあった

ここは快適そうだ、ということで、ちょっと時間は早いがここにツエルトを張った

たき火もしようと薪も集めたが、しけっていて途中で諦めた

夜中はシュラフカバーだけでは少し寒く、震えて朝を待った。

この滝の手前にテン場を切った跡があった。ありがたく使わせてもらった

 

 

【18日】今日は三沢、宝剣を経由し、上松Aを下る長丁場

明るくなるとすぐに出発した

目の前にあるちょっと大きな滝をどう登ろうか

朝は体の動きが悪いから、ロープを使うことも考えたが

岩の真下から見上げると、登るラインが見えてきたので

ロープなしで取り付いてクリア。3級ぐらいで難しくない

どこから登ろうか。よーく観察

高度感はあるが簡単

前方にまた大きそうな滝が見えてきた

 

だんだん上空が開けてきて

後方には木曽駒辺りの稜線に日が当たり始めて気持ちが良い

水流はかなり減り、いくつか小さな斜瀑を越すと

巨岩が積み重なったような滝の登場

段々になっているが、40mぐらいありそう

すでに水はチョロチョロなので、滝の上には水がないだろうと想定

プラティパスに水を2リットル汲んだ

さて、この滝はどこから登るのだろう

まずは左から一段上がると

岩場の真ん中にチョックストーンのはまった高さ3~4mのチムニーがあるのが見える

どこから登るのだろう。まいた方がいいのかな?

中段まで上がるとチムニーがあるのが分かる

高度感はあるが下を見なければ大丈夫

 

あの上がどうなっているのか不安だが、とりあえずチムニーを越すことにする

チムニーの幅は肩幅より若干狭いぐらい

簡単に登れるかと思いきや、はまって動けなくなってしまった

体を外に出せば簡単に越せそうだが

ロープを付けていないので落ちたら致命傷になってしまう

くそっと、もぞもぞ体を動かすと

チムニーの奥の方がほんの少しだけ広いことが分かり

チョックストーンを抱くようにすると簡単にチムニーの上に上がれた

その上は階段状で、簡単にクリア

これも3級ぐらいでしょうかね

その上は稜線まで一直線に小滝を越えていき

ザレの斜面になったらハイマツの薮に入り

たった5mほどの藪こぎで頂上着

変な方向から姿を現したものだから

ちょうど歩きで頂上に来た単独の女性登山者に驚かれた

頂上でまったりし、混み合った宝剣や木曽駒周辺を越えて

足の痛みをこらえて歩き続け、駐車場に着いた

涸れ滝が続く

頂上が見えてきた

最後のザレを登ると・・・

ぴったり頂上着。冬のスヤマ尾根、三ノ沢を登った時に続き、3度目の三沢岳。人が少なくて、いい頂上です

 

asuhadokohe2026.hatenablog.com

帰り道の登山道でライチョウのメス2羽を見つけた。北アから移送した個体だろう。残念ながらヒナは連れていなかった。今年の子育てはだめだったのか。女性の登山者に、中アでもう80羽まで増えたと教わった

脚と足の痛さを我慢して登山口にゴール。お疲れ様でーす