明日はどこへ

漂泊の記録

中ア・木曽川水系滑川三ノ沢~三沢岳(2847m) 20210924~25 

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三ノ沢の夜明け。雲海の向こうに御嶽山が見えた

【形態】単独

【対象】沢登

【場所】長野県上松町の滑川三ノ沢~三沢岳(2847m)

【特徴】上部の4つの滝はまともにシャワーを浴びながらの登りとなり、気温も高くなかったため危うく低体温症になりかけた。そのうち3つは7~15mぐらいの高さで、アルパイングレード4級ぐらい。暑い真夏に、ロープで確保しながら登ることを勧める

【日程】2021年9月24~25日 

24日 北股川沿い駐車地点(1240m)6:00~9:00三ノ沢出合(1550m)~12:00二俣(2080m)~15:00ビバーク地点(2500m)

25日 ビバーク地点6:30~8:00頂上8:30~上松A~15:00駐車地点

 

24日 木曽谷から木曽駒への登山道「上松Aコース」が8月の集中豪雨で荒れ果て

通常の駐車場からは登れなくなっていた

現地の案内に従って、北股川沿いの駐車スペースに移動

敬神の小屋まで下り道からスタートになる

同小屋から先の林道はアスファルトが流され、ガードレールはひしゃげている

通るのに時間がかかるようになった

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滑川の水の流れは随分変わっていた

滑川は、数年前の冬に三沢岳に登った時以来となる

しかし河原も流れてきた巨石で荒れ果て、林道終点から続いていた踏み跡は消えていた

水の流れの位置も随分違う

以前は最初左岸に渡って上流に歩いて行くのが楽だったが右岸近くを進むことにした

途中から右岸の河岸段丘が残されており、その上にかすかに残っていた踏み跡をたどる

スヤマ尾根末端で三ノ沢へ。ここもずっとガラ場になっている

下の二俣を越すとゴルジュっぽくなり、小さな滝がいくつか続くようになった

その最後の滝は直登できず、手前から巻いたが、余りに斜面がもろくきわどいトラバースとなった

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三ノ沢出合。左がスヤマ尾根末端

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最後の滝は巻くが、斜面はボロボロで悪い

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巻いた滝

小尾根を越すと歩いて河床に降りられた。そこかもまたガラ場登りが延々と続く

1900mぐらいで北東方向から南東方向に谷の向きが変わると

少し上流に直径10mを超すような巨岩があるのが目に入った

その正面となる右岸には、2段50mぐらいの滝の奥に100mぐらいの巨瀑がある支流が見えた

ガラ場の滝よりもこの支流を上った方が面白そうではある

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巨大ボルダーの正面に見栄えのする支流の滝があった

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支流の滝の上の方には巨瀑が控えていた

さらにガラ場歩きを続けると、小さな滝がいくつか続くようになり、上の二俣着

標高はもう2000mを超している

このまま滝がなく、面白みのない沢なのかと思ったら、そこからが本番だった

上の二俣を左に進むと、ゴルジュ状になってくる

小さな滝をいくつか越すと、最初の滝

高さは7mぐらいだが、完全なシャワーになりずぶ濡れに

次は15mを越すような滝

真ん中辺りで水流を避けられるかと思ったが甘かった

完全にシャワー、ヌルヌルホールドで悪かった

その次の滝を震える手で登り、途中から左手の乾いた壁へ

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上の二俣で左俣へ入る。ここからが本番だった

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この緩い滝を越すと・・・

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シャワーを浴びながら。この滝だけでずぶ濡れになる

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完全なシャワー。ホールドも甘い

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3つめの滝。寒さに震えながら登る

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寒すぎるので休まず登り続ける

3つの滝を越すと全身ずぶ濡れ、ザックもずぶ濡れ

日差しは弱く、空気も冷たく、寒くて全身の震えが止まらない

その上にある4つ目の小滝を

「もう勘弁してくれ」と思いながらシャワーを浴びて越すと、やっとゴーロになる

震えが止まらないが、幸いなことに体力はまだ残っており

そのまま登り続けると体が徐々に温まってきた

震えが止まらなくなったとき、もう体力が残っていなかったらどうなっていたか、、、

やっぱりアルパインに重要なのは体力やなあとつくづく思った

 

そのままゴーロを行き、右岸にいくつか小さな支流を分けた後

水流がしょぼしょぼになった所に、小さな平坦スペースを見つけ、ツエルトを張った

シャワーを浴びた時にザックの中身も濡れたが

防水パックした着替えは濡れることはなく、着替えると一息付けた

残念ながら防水パックしなかった防寒着は水を吸ってびしょびしょだった

テン場にした辺りには濡れた薪しかなく、火をおこそうと2時間頑張ったがギブアップ

たき火なしの晩となった

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この滝を越えると、小さいが平坦地があった

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25日 今回はシュラフを持ってきたせいか

寝るときに防寒具を着なくてもそんなに寒くなかった

昨日濡れたものは全く乾いていないのでザックは重くなった感じだが

青空が広がっているので気持ちよく小滝を登っていく

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遭難者のものと思われる古いヘルメットが落ちていた。左後頭部にぶつけた痕があった。名前が書いてあったら持ち帰って関係者に送ろうと思ったが、何も書いてはいなかった

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頂上が近くなってきた

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沢筋を忠実にたどり、小さな壁が出てきたところで右の藪に突入

右の小尾根伝いに行こうかと思ったが

藪がひどいためさらに右の沢筋に出て上がっていくと、頂上の真横に出た

頂上は明るい陽光がいっぱいで、濡れた服が一瞬で乾いていくよう

しばらくまったりし、人でいっぱいの宝剣を越えて、上松Aを下山した

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剣岳頂上の最も高い岩の上に立つと眺めがいい