漂泊山岳会ブログ

2020年8月結成

台高 宮川水系大和谷~池木屋山(1396m)20210514~15

 

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左俣の大滝

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右俣の大滝

【形態】単独

【対象】沢登

【場所】三重県大台町の宮川水系大和谷~池木屋山(1396m)

【特徴】5月なのに蒸し暑い日が何日もあったためか、アプローチからヒルがもうウヨウヨしていた。上部の自然林の新緑が美しかった。下りは予想通り時間がかかった。

【日程】2021年5月14~15日

14日 町道大和谷線終点(350m)6:30-8:10大和谷ダム(565m)8:40―12:40巨大な2本の滝(742m)13:00―15:20テンバ(837m)

15日 テンバ5:30―8:20稜線(1265m)8:50―弥次平峰(1274m)―11:15池木屋山11:25―1332P―16:00町道大和谷線終点

【記録】

14日

町道大和谷線は数年前に崩壊後、昨年開通したばかりだが、再び尖った砕石だらけのパンクリスクの高い道になっていた。直径1mぐらいの巨石も1つ路上に落ちている。3ナンバー車だとガードレールと巨石の間を通るのがぎりぎりで、左右とも2、3センチしか余裕がない所を通らなくてはならない。何とか車体を傷つけずに通れてほっとした。終点の駐車場で準備。上空は曇っているが、今日は好天予想なので、そのうち晴れ間が見えるだろう。

 そこから入渓するのも手だが、焼山谷やサザ衛門谷などに行った時に遡行したので、今日は時間短縮のため大和谷ダムまで続く保守点検道を行くことにする。六丁峠(590m)まで200mぐらい登り、同じくらい下り、そこからも小さなアップダウンが続く。途中、半分骨になったシカの死骸が歩道の真ん中にあった。屍肉には長さ1センチぐらいの黒いウジ虫が群がっていた。木の棒で骨を動かすと、ササッといなくなるが、すぐにまた出てくる。食欲旺盛である。こうやって、屍肉をきれいにしてくれるんだな。死んでいた場所はちょうど岩壁の下。野生のシカがこんな平坦なところで行き倒れるわけはないから、シカは岩壁の上から誤って落ちたのかもしれない。

 

 汗だくになって大和谷ダム着(565m)。沢服に着替えようとすると、靴下にヒルがくっついているのに気づいた。それも6匹も。1匹はくるぶしの所に食いつき、すでに出血していた。台高で5月にヒルが出てくるなんてことはかつてなかったから油断していた。今年の季節外れのむし暑さが発生させたのだろう。大和谷ダムからはダム湖を泳がないと上流に行けないのかと思ったが、歩いて上流の河原に下りられた。そこからはしばらく歩き。前日に50ミリぐらいの雨が降ったが、水流は激しくない。上流部の保水力が強いのだろう。

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 590m付近で右岸からきれいな滝が合流している。そこから間もなく、巨大な釜を持った5mぐらいの緩い滝があった。どこから登って行けるのだろうか。右岸の木からは釣り人が残したと思われるトラロープが残置してある。ごみを山に置き去りにするのはやめてほしい。川を汚すのは釣り人失格である。何も残さず帰れないなら、来るべきではない。さて、釜と滝である。こういう時は案ずるより産むが易し。へつって滝に近づくと、するすると簡単に側壁を上まで抜けられた。ぬめりは強くないので、慎重に行けば大丈夫だろう。

 

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大きな釜を持った滝。どこから行くか

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まいた滝

700m地点の大きな滝は登れないので巻く。両岸とも壁が続いているのでまくのにかなり時間がかかるかもしれないと思ったが、小さく巻くことができ、すぐに上流に降り立てた。726mで左岸に支流を分け、左俣と右俣に大きな滝が見える747mの二俣に着いた。ここの景色は圧巻である。左俣の滝は中程に釜を持った2段になっており、下部はハングしている。右俣の滝は直瀑で周りを迫力のある壁で囲まれている。両方ともすぐ下まで歩いて行ける。合流点付近にテントを張れそうな場所があったが、今日はまだ時間が早いので、ちょっと惜しい気がするが先に進むことにする。

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滝のたもとにいた透明感のあるトンボ

 

しかしこの滝はどこから越せるのだろうか。沢登りの楽しさや想像力を失わないように、トポはいつも持ってこないので、こういう時はまず周囲をよく観察する。左俣の右岸は植林が下りてきている感じで簡単に歩いて行けそうだが、右俣に回り込むのが大変そうだ。かといって、右俣の滝の両岸は壁が上の方まで立っているのが見える。ちょっと悩んだ末に、右俣の左岸の斜面に取り付くことにする。しかし案の定、壁が続き、上へ上へと押し上げられる、終いには手前の支流(726mで分かれた沢)の水の音がするところまで回り込まなければならず、結局1時間以上かかって956mのピークへ。巻く方向を間違えたのかもしれない。(と思ったが、家に帰ってトポを見ると巻く方向は正しかったようだ)

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大滝の巻きでへろへろになった

 

956mのピークから今度はどう下りればよいのか。地形図を見ると、ピークの先にあるコルから西方面は等高線の間隔が広がっているのが分かる。たぶんそちらの方向だと歩いて下りられるかもと思い、地図にコンパスを当てながら進むと、すんなり本流に戻れた(820m)。戻った地点の浅い淵には、黒々と光るイワナが多数見られた。

さらに上流に向かい、823mで分かれる左岸の支流の合流点には、小さな滝と釜があった。837mの二俣の左岸に広い平坦地があり、たき火をした跡があった。今は15時過ぎ。時間的にはちょっと早いが、この平坦地の魅力に負け、ここをテンバにすることにした。快適な一夜だったが、周囲に薪となる流木は少なかった。

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左岸の支流出合

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快適なテンバ



 

15日

出発時にすでに上空は曇っていた。天候悪化は早そうだ。869mで右岸に支流を分ける地点まではほぼ平坦の歩き。そこから沢の傾斜は急になってくる。968mの二俣を右へ行くとゴルジュになり、そこを抜けると、20mぐらいのきれいな滝が落ちている美しい場所に着く。左岸には平坦地がありテントが張れそうだ。その20mの滝はどこから巻けるかと悩んだが、急な斜面にシカの蹄の跡があり、登って行けると確信。2日前の雨で土壁が滑りやすくなっていたが、アックスを斜面に刺しながら登り切った。

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美しい自然林の中を行く

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ゴルジュを越すと・・・

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広い平坦地の奥に美しい滝が登場

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巨大なブナ


 その先には高さ数十mのブナの巨木が神々しい姿でそそり立っていた。1013mの二俣で、水量の多い左へ。1100mぐらいで水量が減ったので、ぐずぐずの右の斜面に乗った。稜線が近づくとヒメシャラの幼木が密集した斜面になり、ザックのあちこちが引っかかって難儀する。やっとのことで稜線に到着し、沢服を乾いた服と靴にチェンジ。携帯の電源を入れると、ソフトバンクが通じたが、ドコモは電波を拾えなかった。

 

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稜線に到達

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弥次平峰頂上

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ピンクカーペットの上を進む

 池木屋山に向かって歩き始めると、南東風が強まってくるのが分かる、弥次平峰を越すと、ガスが湧き出し、小雨も降り出した。その辺りから池木屋山手前までアケボノツツジシャクナゲの木が多く、ピンクや赤の花が咲き乱れている。すでに散ってしまった木もあるが、散ったばかりと見えて踏み跡がレッドカーペットならぬ、ピンクカーペットのようになっている。花が美しい尾根だが、他にだれもいないので絶景を独り占めだ。1258P付近でさらに風と雨が強まり、雨具の上だけを着込む。池木屋山の頂上は6回目。すべて南北の沢から登ったことになる。いつものように奇怪な形に曲がった木の所で記念写真を撮る。

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6回目の池木屋山頂上

 

台高は帰り道も悪いので、すぐに下山に向かう。ガスで支尾根が全く見えないので1332Pが分かるか不安だったが、それらしいピークに「1332m」と書かれた白い小さな標識が木に掛けられており、見つけることができた。

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木の根元に鳥の巣を発見

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飛び去った親鳥が、木の枝の上で心配そうにこちらをうかがう

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モノレールの残骸に沿って降りていく


 1332Pからは南尾根へ。薄い踏み跡があったりなかったりするが、1243Pから南西への尾根に入り、1150mぐらいで尾根が斜面に吸収されるので西向きに下りていく。ガスで20mぐらいしか視界がなく、行ったり来たりしながら慎重に進む。途中、木の根付近から体長10数センチの鳥が飛び出し、4、5mぐらい先の枝に止まってこちらをうかがうそぶりを見せた。何かあると思って根の付近を探すと、小さな空洞に巣があり、直径1センチぐらいの小さな卵が6~7個があった。巣に近づきすぎて驚かしてしまったようだ。さらに下りていくと1000mぐらいでモノレールの残骸が出てきたので、倒木を乗り越えながら残骸から離れずに進む。以前はモノレールを無視して降りすぎ、結局焼山谷出合に出てしまい、遠回りで苦労したこともあった。750mぐらいで南西尾根に入ってしまうが、このまま進むと焼山谷に出てしまうと思い、正しい南東尾根に復帰するために右往左往。すると、倒木の向こうに薄いトラバースの踏み跡が南東尾根に向かっているのを見つけた。これをたどって六丁峠(590m)方面の南東尾根に乗り、そのまま峠を経由して駐車場に着いた。雨と霧で進路を見定めるのに時間がかかったが、今回は間違った尾根に入らずに下りられた。