明日はどこへ

漂泊の記録

中ア・熊沢岳南西尾根 20220109~10

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熊沢岳南西尾根の最高地点から臨む空木と南駒。手前は東川


【形態】単独

【対象】やぶこぎラッセ

【場所】長野県大桑村 の中ア熊沢岳南西尾根

【特徴】やぶこぎと樹林帯ラッセルが延々と続く尾根

【日程】2022年1月9、10日 

▽9日 伊奈川ダム下ゲート(950m)6:00~8:30うさぎ平(1445m)~やぶこぎ突入(1660m)~14:00テンバ(2060m)

▽10日 テンバ5:00~9:30熊沢岳頂上(2778m)~11:30テンバ12:10~17:00伊奈川ダム下ゲート

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【9日】

年末年始の悪天が嘘のような1月3連休は好天続き

伊奈川ダム下ゲートには8台もの登山者の車が止まっていた

冬の木曽谷の登山口としては異例の賑わいだ

でも熊沢岳のみを目的に入る登山者はほぼゼロだろう

 

林道歩きが9キロもあるため暗いうちに出発

ダムを越え越百・南駒方面との分かれ道まで来ると

8台分の登山者はすべて越百・南駒方面に向かったらしく

熊沢・空木方面に足跡はなかった

林道を延々と歩き、林道終点にあるうさぎ平で小休止

そこまでは除雪してあったが

そこからの登山道には案の定トレースはない

空木を木曽方面から登る人は少ないから

これも想定内だ

 

わかんを付けラッセル開始

1652mの小ピークを巻き、夏道が東川に降りていく付近からやぶに突入

背丈以上あるクマザサをつかんで急な尾根を登っていく

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ここからやぶ漕ぎの開始だ

わかんがササに引っかかって歩きにくいが

かといって脱いでしまうと膝まで雪に埋まる

一歩一歩苦しい登りが続く

クマザサ岳と言われるだけのことはある

激しいやぶは1850mぐらいまで続き、かなり体力を消耗した

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ナイフリッジが続く

1860mぐらいからは切り立った尾根道になりやぶは薄くなる

岩と氷化した土斜面のリッジ登りが出てきたのでアイゼンに履き替える

ナイフリッジを越すと雪が深くなりササは雪の下に隠れるが

ふかふかなため歩きにくい

2050mぐらいで眺めの良い平坦地があった

体力消耗が激しいこともあり

ちょっと早いがここにテントを張ることにした

風もなく、人もいない静かな夜だった

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【10日】

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カモシカの足跡に導かれていく


真っ暗な中テントを出る

延々とラッセルが続くが

カモシカの足跡が上へ上へと付いており

それに導かれるように登っていく

途中、雪の上に黄色くなった部分を見つけた

カモシカさんのおしっこも黄色いのね

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2244m付近には巨岩の連なるナイフリッジがあったが

巧みに岩をよけながら登るカモシカの足跡に助けられた

そこからもラッセル、ラッセル、またラッセ

樹林帯を抜けたのは2650mぐらい

そこから雪面が固くなりラッセルしなくてもよくなる

でもすぐに頂上着

うーん、これじゃラッセルするために登ってきたようなものだ

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やっと樹林帯を抜けた。右奥が頂上

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熊沢岳頂上。右のピークは南西尾根の頭で、頂上よりやや高い

もちろん頂上にはだーれもいない。当たり前か

そこでくるっとUターン

樹林帯をどんどん下り

クマザサのやぶをこけながら降り

林道を9キロ歩いて車にたどり着いた

2日間だれにも会わなかった