漂泊山岳会ブログ

2020年8月結成

台高 吉野川水系北股川不動谷~馬ノ鞍峰(1178m)~南股谷 20210530

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【形態】単独

【対象】沢登

【場所】奈良県川上村の吉野川水系北股川不動谷~馬ノ鞍峰(1178m)~南股谷下降

【特徴】美しい森と滝が続く。一年で最も日が長い時期でもあり、1時間半の林道歩きがあったものの日帰りできた

【日程】2021年5月30日

北股川ゲート(425m)4:00-5:00不動谷出合(490m)―5:40二俣(550m)~8:50上の二俣(790m)~10:30稜線(1200m)10:50―12:30馬ノ鞍峰(1178m)12:40―南股谷―17:45ゲート

 

長丁場のため北股川沿い林道のゲートを暗いうちに出発

地形図を見ながら小一時間歩くと

対岸の山に不動谷と思われる谷が見える林道のカーブ(520mぐらい)に

「関係者以外入山禁止」と書かれた白い看板があるのを見つけた

そこに踏み跡があり、それをたどって北股川に下りる

下りた場所は水流穏やかな浅い淵で、対岸に簡単に渡れた

不動谷・南股谷の出合がすぐそこに見える

二つの谷の出合にしては狭い

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林道から北股川に下りた。不動谷の出合がすぐそこだ

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出合からすぐにあるでかい滝

小さな滝と巨岩を越えていくと平坦地になり

見栄えのする巨大な滝がある

これは急斜面の微妙な巻き

上部はいくつか踏み跡があり

一歩滑ると滝に落ちてしまう最も下の踏み跡をたどってしまい

怖い思いをする

一部に林業関係者の固定ロープがある

 

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南股谷との出合の不動谷側

河原に下りるとすぐに二俣

まだ薄暗く、ゴルジュに凄みがある

左手の不動谷に入るとすぐに狭いゴルジュが続くようになる

難しくはないが、どちらから登ればいいのか迷う滝が多い

高さ30mぐらいのすだれ状の美しい滝もあった

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それを越してしばらく行くと

また狭いゴルジュ

2、3は簡単な滝登りだが

直径3mぐらいの釜を持った5mぐらいの滝は微妙だった

右岸に古いハーケンが連打され、スリングがかかっている

縦ガバとスタンスがあり、ノーロープで登って行くが

最後の一歩はツルツルのスラブしかスタンスがない

落ちると泡が煮立った釜に落ちるだろう

何度も行きつ戻りつするが、ここはリスクが高いと判断

戻って、釜を泳いで滝に左岸に取り付くと簡単に滝の上に上がれた

あのハーケン連打は水量が極端に多い時に使うのだろうか

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小さな滝が怖かったりする

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この後もいくつか小滝を越えたり巻いたりしていくが

段々渓相が緩やかになり、日も差してきて明るい雰囲気になる

北向きから東向きに90度曲がる760mを越すと中流部の平坦地に出た

790mで本流は北向きに90度曲がる

まっすぐは右俣

本流に進むと、右岸にたき火をした跡があった

その後もしばらく緩やかな流れが続く

ブナの巨木が何本も立っていて癒やされる

870mぐらいで15mぐらいの直瀑があり、巻いて上部へ

この辺りは岩の表面に根を這わせた巨木がいくつも見られる

数年前に旅行したカンボジアのタプローム遺跡を思わせる

一斉に新緑に覆われる春は木の生命力を最も感じる時季だが

岩に根を這わせた姿にも

人間のちっぽけな一生とは比べものにならない自然の雄大さを感じる

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790mから見た左俣(本流)

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ブナの巨木が林立する

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そこから沢は次第に急傾斜になり

水が涸れ、岩が出てきたら右の斜面に逃げ

1200mぐらいの稜線に出た

2週前の宮川水系大和谷から上がった地点よりやや南寄りだろう

北西風が心地よい

下りの南股谷で時間がかかるとビバークになってしまうため

昼には馬ノ鞍峰を下り始めたいと思っていたが

すでに10時半過ぎ

ちょっと難しそうだ

そそくさと着替え出発する

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稜線に出た。大和谷から上がった地点よりやや南側

 

稜線はアップダウンが厳しく、意外に時間がかかる

踏み跡は薄く、地形図を見ながら行っても

違う尾根を下りそうになった屈曲点がいくつかあった

 

固定ロープが付けられた岩場を下りた所にある顕著なコルは

馬ノ鞍峰手前の1090mコルと思われる

南南西に緩い斜面が続いており

ここから下りれば南股谷の上流部に合流すると思われた

だが、ここが1090mコルかどうかいまいち確信が持てず

谷筋を誤るとひどい目に遭う可能性もあるため

もうちょっと先の馬ノ鞍峰まで上がることにする

急傾斜の尾根を上がっていくと

右手に頂上から南西に伸びる尾根が見えてきて

頂上が近いことが分かる

馬ノ鞍峰には立派な看板があった

ソフトバンクは通じたが、ドコモは通じなかった

すでに時間は12時半

滝下りに手こずると暗くなってしまうかもしれず

すぐに下りにかかる

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南股谷の最上部は砕石と土砂の急斜面


頂上から見る南股谷最上部はものすごく急斜面に見える

南西尾根を少し下ってから

木を伝ってトラバース気味に沢の最上部へ

砕石と土砂が一面にあるが

新雪斜面のようにザクザク下って行けた

その辺りでは

気の早いエゾハルゼミが1匹鳴き始めていた

ジジジ、ジジ、、、と鳴き方はまだ下手

2、3週間後には山中がエゾハルゼミの鳴き声に包まれるだろう

 

しばらくは緩い沢沿いをゆったり下って行く

そのうち大きな滝、小さな滝がいくつも出てくるが

すべてを巻いて下りていける

ハングした岩の下を流れる斜瀑には

林業関係者が渡したと思われるトラロープと

簡易な木組みのはしごが付けてある

さらに1つ大きな滝を巻いて下ると不動沢との合流点

何とか明るいうちに下りられそうでほっとする

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すべての滝を歩いて下りられる

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ところが落とし穴があった

出合近くにある巨瀑を巻いて下り北股川が見えてきた地点で

巨岩の間をすり抜けて下りようとしたら

足下の土砂が崩れて穴に腰まで吸い込まれた

偶然ザックが引っかかって止まったが

穴がもっと大きかったら深く吸い込まれ溺死する可能性があった

何とか脱出し、その地点を観察すると

引っかかった流木に土砂がたまり

そこに不用意に足を載せたため崩れたと思われた

次からはこんなところにも気をつけなければと心に刻んだ

 

すでに釣り人もいなくなった北股川を渡り

林道を40分以上歩いてゲートにたどり着いた

 

三之公川との分かれ道に車を止め

道路脇の砂利の所でウエットを脱いで

体をぬれタオルで拭こうとしたら

右足のふくらはぎに黒い葉っぱみたいなものが付いているのが見えた

薄暗かったのでよく見えなかったが

それを手で払おうとしたら

肌にくっついて取れない

ヒルだと思って無理矢理引っこ抜いて

石でつぶすと、何やら足が見えた

なんだこれ?と思って写真を撮り

帰宅してから調べるとマダニであることが分かった

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マダニは死に至る感染症を媒介すると言われ

ちょうど5月末には静岡県で高齢者がICUで治療中とも報じられた

食われたふくらはぎを見ると

小さな赤い点が1つだけあり

無理矢理引っこ抜いた時にマダニの吸引器?が

残置された可能性があるのかどうかは分からなかった

一応、自宅近所の皮膚科をチェックし

体調に異変があったらすぐに行ける準備を整えたが

大丈夫だったようだ