明日はどこへ

漂泊の記録

中ア・麦草岳西尾根 20210110~11

 

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麦草頂上、木曽駒や木曽前が見える

【山行形態】単独

【対象】藪こぎラッセ

【場所】長野県上松町の麦草岳西尾根

【日程】2021年1月10~11日

<10日>

上松A登山口(1090m)6:30

8:30西尾根取り付き(1390m)

15:30西尾根2430m

<11日>

テンバ6:30

10:30麦草岳2733m

14:30奇美世の滝1720m

17:30駐車地点

 

【特徴】藪こぎとラッセルの尾根。麦草岳頂上からは牙岩を経由して、トレースがあると想定して上松Aコースを下りる予定だったが、麦草~木曽前岳間は積雪が多く時間がかかりそうだったので、急きょ上松Bコースを下山。下りもトレースはなくずっとラッセルだったが、赤テープがたくさんあり、尾根を間違わずに下りられた。上松Bの登山口から林道を7キロ歩いて、駐車地点に車を取りに戻った。

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【記録】薄明るくなるころに出発。上松Aを登る1パーティー6~8人が準備している。歩き出して数分、出だしから方向を誤ったことに気づき、急な草付き斜面を登って林道に復帰。1、5キロほど進んだところで今度はワカンを忘れたことに気づき、ザックをデポして車まで戻った。林道は急だが、車で上がってこられそうだったので、車に乗ってデポしたザックを回収。さらに500mぐらい進み、林道分かれ道に駐車。これから歩く予定の林道には「地元の人以外進入禁止」と書かれていたが、ちょうどゲートを開けて車で進行しようとする地元の男性がいたので、麦草岳頂上から西に続く尾根を登ろうと思っているが、林道を終点まで歩かせてもらってもいいか聞いたところ、「いいよ、きのこや山菜を採りに入る人がいるから看板を出している」とのこと。逆に「急な尾根だけど大丈夫?」と聞かれたので、「登れない場所が出てきたら戻るので大丈夫です」と返事をすると「そういう変なところが好きなんやね」と言われたので、苦笑いで応えておいた。男性は「薪刈り」に行くとかで、すぐにまた下りていった。男性と話したことに気を取られ、またワカンを忘れたまま歩き始めてしまい、500mほど先で気づいてUターン。最初から2度もワカン忘れるなんて今回も敗退かなあ、なんて思いながらとぼとぼ歩いた。なんやかんやで、林道終点までに2時間もかかってしまった。

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アイゼンがすり減ってしまうが、泣く泣くはいて登る

 

西尾根の末端は急な岩場になっている。川沿いを少し進むと、やや傾斜の緩い斜面が出てきたので、泣く泣くアイゼンをはいて離陸。50mぐらいで尾根に上がれ、そこからは藪こぎをしながら進む。しばらく急尾根を登って行くと、20mぐらいの高さで岩が積み重なったギャップが出てきた。上から見るとコルに歩いて下りられそうだったので、木の根っこなどをつかみながら下り始めたが、バランスが悪く冷や汗をかいた。懸垂するべきだった。コルからは急なルンゼが左右の沢に落ちており、もし落ちていたらどちらかに真っ逆さまだったろう。コルからは崩れやすい草付きを登り返し、さらに尾根上の巨石や倒木を左右に避けながら上がっていく。1800mぐらいには膝丈の積雪があり、ブッシュもあることからスピードは遅々として上がらない。2400mを越えた辺りで平坦地が出てきたので、テンバとする。今冬1、2を争う寒気に覆われているので、テントに入っても寒くてしょうがない。寝袋の中で震えながら夜を明かした。

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コルに降りる岩場。懸垂すべきだった

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巨岩を越えて

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倒木も越えて

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ちょうど1年前に登った三ノ沢岳が見えた

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冷え込みが厳しくためか、サンピラーが見えた

 翌朝は暗いうちに出発しようと早起きをしたが、準備を終えると周囲はもう薄明るくなりかけていた。冬山の出発準備は時間がかかりますな。そこからはさらにラッセルが深くなり、腰、胸は当たり前。巨岩に隠された穴ぼこや、雪で隠されたブッシュの隙間に落ちそうになったりして、稜線が見えてきてもなかなか進まない。3時間ぐらいラッセルを続けると、やっと森林限界。雪の美しいリッジを100mぐらい進み、わずから岩稜帯を過ぎると、頂上に着いた。右側に見える尾根の上の上松Aコースには、登山口で会ったと思われる6~8人のグループも伊那前岳に向かって進んでいるのが見える。なかなか頂上に着かないのは、あちらもラッセルがひどいのだろう。

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雪をまとった樹木がモンスターに見える。通せんぼされているかのよう

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森林限界を越えると御嶽山が背後に見えた

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 牙岩方面のリッジは雪が深そうだ。伊那前岳まで時間かかるかもしれないと思い、ものすごい遠回りになるが、上松B下山に計画変更。トレースがあればうれしかったが、この冬は登山者が登っていないらしくノートレース。下りでルートを外すと変な尾根や沢に下りて行ってしまうため、慎重に登山道かどうかを見極めながら下って行く。特に樹林帯に入る地点が分かりにくかったが、何とか見つけることができた。そこからは赤テープがあちこちに出てきて、登山道を踏み外すことはなかった。

 

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途中、奇美世の滝の前を通る。10年ほど前に2回ほど登りに来たことがあるが、南斜面の上部はそのときより氷結が悪そうだった。そこから延々と沢沿いの道を歩き、延々と小野川林道を歩き、車が通れる林道に出たらザックをデポしてさらに林道を延々と歩き、ヘロヘロになって車の駐車地点に到着。ザックを取りに戻って、山行を終えた。