明日はどこへ

漂泊の記録

中ア・木曽川水系滑川三ノ沢~三沢岳(2847m) 20210924~25 

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三ノ沢の夜明け。雲海の向こうに御嶽山が見えた

【形態】単独

【対象】沢登

【場所】長野県上松町の滑川三ノ沢~三沢岳(2847m)

【特徴】上部の4つの滝はまともにシャワーを浴びながらの登りとなり、気温も高くなかったため危うく低体温症になりかけた。そのうち3つは7~15mぐらいの高さで、アルパイングレード4級ぐらい。暑い真夏に、ロープで確保しながら登ることを勧める

【日程】2021年9月24~25日 

24日 北股川沿い駐車地点(1240m)6:00~9:00三ノ沢出合(1550m)~12:00二俣(2080m)~15:00ビバーク地点(2500m)

25日 ビバーク地点6:30~8:00頂上8:30~上松A~15:00駐車地点

 

24日 木曽谷から木曽駒への登山道「上松Aコース」が8月の集中豪雨で荒れ果て

通常の駐車場からは登れなくなっていた

現地の案内に従って、北股川沿いの駐車スペースに移動

敬神の小屋まで下り道からスタートになる

同小屋から先の林道はアスファルトが流され、ガードレールはひしゃげている

通るのに時間がかかるようになった

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滑川の水の流れは随分変わっていた

滑川は、数年前の冬に三沢岳に登った時以来となる

しかし河原も流れてきた巨石で荒れ果て、林道終点から続いていた踏み跡は消えていた

水の流れの位置も随分違う

以前は最初左岸に渡って上流に歩いて行くのが楽だったが右岸近くを進むことにした

途中から右岸の河岸段丘が残されており、その上にかすかに残っていた踏み跡をたどる

スヤマ尾根末端で三ノ沢へ。ここもずっとガラ場になっている

下の二俣を越すとゴルジュっぽくなり、小さな滝がいくつか続くようになった

その最後の滝は直登できず、手前から巻いたが、余りに斜面がもろくきわどいトラバースとなった

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三ノ沢出合。左がスヤマ尾根末端

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最後の滝は巻くが、斜面はボロボロで悪い

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巻いた滝

小尾根を越すと歩いて河床に降りられた。そこかもまたガラ場登りが延々と続く

1900mぐらいで北東方向から南東方向に谷の向きが変わると

少し上流に直径10mを超すような巨岩があるのが目に入った

その正面となる右岸には、2段50mぐらいの滝の奥に100mぐらいの巨瀑がある支流が見えた

ガラ場の滝よりもこの支流を上った方が面白そうではある

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巨大ボルダーの正面に見栄えのする支流の滝があった

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支流の滝の上の方には巨瀑が控えていた

さらにガラ場歩きを続けると、小さな滝がいくつか続くようになり、上の二俣着

標高はもう2000mを超している

このまま滝がなく、面白みのない沢なのかと思ったら、そこからが本番だった

上の二俣を左に進むと、ゴルジュ状になってくる

小さな滝をいくつか越すと、最初の滝

高さは7mぐらいだが、完全なシャワーになりずぶ濡れに

次は15mを越すような滝

真ん中辺りで水流を避けられるかと思ったが甘かった

完全にシャワー、ヌルヌルホールドで悪かった

その次の滝を震える手で登り、途中から左手の乾いた壁へ

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上の二俣で左俣へ入る。ここからが本番だった

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この緩い滝を越すと・・・

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シャワーを浴びながら。この滝だけでずぶ濡れになる

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完全なシャワー。ホールドも甘い

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3つめの滝。寒さに震えながら登る

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寒すぎるので休まず登り続ける

3つの滝を越すと全身ずぶ濡れ、ザックもずぶ濡れ

日差しは弱く、空気も冷たく、寒くて全身の震えが止まらない

その上にある4つ目の小滝を

「もう勘弁してくれ」と思いながらシャワーを浴びて越すと、やっとゴーロになる

震えが止まらないが、幸いなことに体力はまだ残っており

そのまま登り続けると体が徐々に温まってきた

震えが止まらなくなったとき、もう体力が残っていなかったらどうなっていたか、、、

やっぱりアルパインに重要なのは体力やなあとつくづく思った

 

そのままゴーロを行き、右岸にいくつか小さな支流を分けた後

水流がしょぼしょぼになった所に、小さな平坦スペースを見つけ、ツエルトを張った

シャワーを浴びた時にザックの中身も濡れたが

防水パックした着替えは濡れることはなく、着替えると一息付けた

残念ながら防水パックしなかった防寒着は水を吸ってびしょびしょだった

テン場にした辺りには濡れた薪しかなく、火をおこそうと2時間頑張ったがギブアップ

たき火なしの晩となった

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この滝を越えると、小さいが平坦地があった

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25日 今回はシュラフを持ってきたせいか

寝るときに防寒具を着なくてもそんなに寒くなかった

昨日濡れたものは全く乾いていないのでザックは重くなった感じだが

青空が広がっているので気持ちよく小滝を登っていく

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遭難者のものと思われる古いヘルメットが落ちていた。左後頭部にぶつけた痕があった。名前が書いてあったら持ち帰って関係者に送ろうと思ったが、何も書いてはいなかった

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頂上が近くなってきた

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沢筋を忠実にたどり、小さな壁が出てきたところで右の藪に突入

右の小尾根伝いに行こうかと思ったが

藪がひどいためさらに右の沢筋に出て上がっていくと、頂上の真横に出た

頂上は明るい陽光がいっぱいで、濡れた服が一瞬で乾いていくよう

しばらくまったりし、人でいっぱいの宝剣を越えて、上松Aを下山した

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剣岳頂上の最も高い岩の上に立つと眺めがいい

 

北ア・笠ケ岳のライチョウ8羽の群れ 20210911

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先日の笠ケ岳で、ライチョウの群れと出会った

最初、登山道近くで1羽がいるのを見つけ

そっと近づいて行くと

野草の咲く荒れ地に8羽がうずくまっていた

うち2羽はやや体が小さく

今年誕生した若鳥のようだった

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ライチョウ研究で有名な中村浩志信大名誉教授などの論文によると

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjo/67/1/67_69/_pdf

10~3月には大きな群れになるが

4~9月は8羽未満の群ればかりだったとのこと

笠ケ岳で見かけた8羽の群れは越冬準備に入っているのかもしれない

 

間近で1時間ぐらい観察し続けたが

ライチョウたちは私など気にせず

マイペースに毛づくろいをしたり餌をついばんだりしていた

youtu.be

そのうち

とりわけ体の大きい1羽が大きく体を震わせたかと思うと

ふんをした

移動した後にふんを触ってみるとほんのり温かく

少し粘りけがあった

においはなかった

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近くにはハイマツの実をホシガラスが食べ散らかした跡もあった

 

北ア・笠ケ岳穴毛谷三ノ沢~笠谷右岸支流(敗退) 20210910~11

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【形態】単独

【対象】沢登

【場所】岐阜県高山市の笠ケ岳穴毛谷三ノ沢~笠谷右岸支流

【特徴】10年ほど前に登った三ノ沢を再訪。上部に雪渓は残っていなかった。滝場は水量豊かでシャワーを浴びながら登った。10日夕方から11日朝は雨が降り続いたため、笠谷右岸支流の沢登りは中止し、頂上往復でお茶を濁した。

【日程】2021年9月10~11日 

10日 新穂高(1050m)5:30~7:50三ノ沢出合~12:30ビバーク地点

11日 ビバーク地点6:30~7:30頂上~クリヤ谷~新穂高

 

10日 前日まで大雨が続いたため、左俣谷は水が轟轟と流れている

穴毛谷は対岸に渡れるだろうかと心配になる

林道を終点まで行くと、案の定、穴毛谷もすごい水量

歩き用のアプローチシューズはできるだけぬらしたくないので

ライミングシューズに履き替えて、膝ぐらいまで水流に漬かって渡った

二ノ沢から三ノ沢の間で右岸から左岸に渡るところも難儀した。

三ノ沢の水量も豊富。だが、しばらく登ると伏流水となり

ただのガラ場登りになる

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水量の多い穴毛谷の堰堤

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三ノ沢出合から上部を見渡せる

 

後ろから真夏並みの日差しに照らされ

熱くて暑くてしょうがない

喉が渇いたが、荷物を軽くするため水は全く持っていない

ちょうど休んだ日陰に野いちごがなっていたので

むしゃむしゃ食べて渇きを癒やした

以前登った時は雪渓を避けて登ったが

今日は雪渓は跡形もない

すると、上部の滝場が見えてきた

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野いちごで渇きを癒やす

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滝場が見えてきた

滝場の下に水がたくさん流れていたのでがぶ飲み

滝は4つほどあり、シャワーを浴びながら登って行く

最初と最後の滝がアルパイングレード3級ぐらい

最初の滝は落ち口にあるガバがグラッと動いたので肝を冷やした

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最初の滝。かぶり気味だが、ガバが多い。出口のガバに注意

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2つめの滝。水流を避けようとすると、そこはボロボロ

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3つめの滝。シャワーを浴びて登る

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最後の滝


滝場が終わり、草付きとなるところで

プラティパス2つ分4リットルぐらい水を汲んだ

足が滑らないよう気をつけながら、急斜面の藪こぎで稜線まで

いつものビバーク地点に移動しテントを張った。

夕方から雲行きが怪しくなり雨になった

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最後の滝を越えると、草付きが広がる

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藪こぎを1時間。振り返ると槍穂がきれいに見える。右下は三ノ沢

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稜線に着いた。相変わらず、お美しい笠ケ岳

11日 朝も強い雨が降り続いている

これじゃあ笠谷を降りていく気にならない

しばらくシュラフの中でグダグダした後、今日は無理と判断

頂上まで行って、クリヤ谷を下山した

クリヤ谷のブッシュは昨年よりさらにひどくなっていた

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雨の頂上。手ぶらで登ってきたので、軍手を標識に載せて記念撮影

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クリヤ谷登山道のブッシュ。葉っぱにたまった雨の水滴で全身びしょ濡れになる。去年よりさらにササが伸びている

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ちなみに去年の同じ場所

 

北ア 4峰正面壁北条・新村ルート 20210828~29

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【形態】友人と2人

【対象】岩登り

【場所】長野県松本市の4峰正面壁~前穂高岳(3090m)

【特徴】前穂東面クラシックルートは6年ぶり。4峰は8年ぶり7、8回目。北条新村は遙か昔に登ったことがあるが、残置ピンがかなり痛んできているのが目に付いた。ハイマツテラスビバークで小雨に降られたが、日の出の眺めは最高だった

【日程】2021年8月28~29日 

28日 上高地(1500m)5:30~10:00奥又白池(2475m)10:30~12:30 4峰北条新村ルート取り付き~14:20ハイマツテラス

29日 ハイマツテラス6:00~11:00終了点~3・4のコル~13:40頂上13:50~~16:35上高地

 

 

28日 

沢渡から始発バスに乗り上高地まで

最近はほとんど歩きかチャリでの深夜入山だったので、バスは久しぶりだ

コロナ禍のためか、3週間ぶりの晴れの週末にしては入山者が少ない

徳沢までは一般道。縦走などの登山者たちがセカセカと足早に追い抜いていく

あんなに急いでどこまで行くのだろう?

新村橋を渡り、中畠新道取り付きで水飲み休憩

ここからの尾根登りは灼熱地獄で、汗だくになって奥又白池着

しばらく休憩後、水をプラティパス2つ分計5リットル汲んで再出発

ザックがずしりと肩に食い込む

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灼熱の登り

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崖の上にニホンカモシカがいた。「おーい」と声をかけると、どこから声がするのかと振り向いた(笑)

奥又白池からのトラバース道はブッシュで隠れ気味だった

コロナ禍でクライマーがあまり入っていないからだろう

ガラ場に降り、そこから5・6のコル方面の踏み跡と別れて

落石に気をつけながら、B沢の真下に当たる沢筋に沿って上がっていくと

雪渓を通らずに、安定してC沢に入れた

大きなチョックストーンの下を右のルンゼ方向に進み

踏み跡をたどってT1へ

そこから浅いガリーが上へ続いており

出だしの岩には残置ハーケンもあった

過去に2度、取り付きを間違え

1度は松高ルートに、もう1度は甲南ルートに行ってしまった

でもこんなに明瞭なルートを2度もなぜ見落としたんだろう?

そう思えるほど分かりやすい取り付きだった

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8月末だけに雪渓は小さかった。左端を登り、C沢に入った

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C沢の途中から右のルンゼに入る

T1で準備をしていると雲行きが怪しくなり雨がパラパラと降り出した

今日は一日晴れ予報のはずだったが、

今日のパートナーが契約しているヤマテンだと

穂高の主稜線は午後雨予報だとか

よく当たる天気予報だこと、、、

1Pと3Pは私、2Pは友人と、つるべでサクッと登り

ハイマツテラスにツエルトを張った

テラスは思っていたより傾斜があり

残置ピンなどでロープを張ってセルフを付けて寝た

小雨は日暮れまで降り続いたが、夜になったらきれいな半月が出た

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1P目

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2P目

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ハイマツテラスで憩う

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テラスの朝焼け



29日

2日目は快晴

いきなりハング帯からスタート

4、5Pは私、6Pは友人がリードし上部の緩斜面へ

4P目はエイリアンが各所で効いた

一番大きなハングでは

タッパがない人には次のピンが遠い

幅の狭いクラックに緑エイリアンをはめてアブミをかけたが

ここは小さなカムを持って行った方が良いだろう

ハングを越えた後の4、5Pにまたがるトラバースは

高度感があってカムが使えるクラックがあまりなく

緊張感満点だった

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4P目のハングを越えて

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5P目も高度感満点

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6P目

緩傾斜帯でロープを解き歩いて3・4のコルへ

北尾根3峰はロープなどいらない簡単な岩場だが

パートナーはカムを付けながら登りたいというのでロープを付けた

2峰の下りも簡単にクライムダウンできるが

パートナーが懸垂を楽しみたいというのでロープをセット

こういうところをロープなしで一歩一歩確実に(素早く適当に)

行けるようになると時間短縮になるのだが、、、

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北尾根3峰

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快晴の頂上

そこからわずかな登りで久しぶりの前穂頂上

たくさんの登山者がまったりしていた

われわれは最終バスまで時間がないので

サクッとガチャ分けをして

サクッと養分を取り

岳沢小屋泊まりと思われる登山者をどんどん抜いて早足で下山

最終バスの発車10分前に上高地に到着した

 

自宅に戻って3日後

右足ふくらはぎの裏に妙な出っ張りがあるのに気づいた

「これは! やばい」と思い

翌日、皮膚科に駆け込むと、思った通りのマダニだった

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上高地~ハイマツテラスと前穂頂上~上高地は暑かったこともあり

半ズボンで上り下りしたためだ

でも北アルプスの高山地帯にもマダニが進出していることに

温暖化が予想以上に早く進行していることを実感した

https://www.agrinews.co.jp/date/2021-06-16/10498

大峰 北山川水系白川又川下部~火吹谷 20210723~24

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【形態】単独

【対象】沢登
【場所】奈良県上北山村の北山川水系白川又川下部~火吹谷
【日程】2021年7月23~24日
23日 小谷林道ゲート(460m)6:10~大栂山付近(1020m)~フジノトコ(565m)~火吹谷出合(645m)~15:00大滝の見える左岸台地(泊)
 
24日 左岸台地6:00~大滝下~大滝上~主稜線~1516m峰~16:30小谷林道ゲート
 
5年前の2016年8月に知人と奥剣又谷に行った時よりも白川又川の水流は緩やかだったが、冷たさは相変わらず。火吹谷出合までに何度も泳ぎを強いられ、あまりの寒さに帰りたくなった。火吹谷に入った途端に水はぬるくなり、遡行は楽になった。
 
23日 
林道ゲートに着くと、奈良ナンバーの先着の車が1台。
ちょうど歩き出すところだった男性が、どちらへと聞くので
「大栂山周辺の林道から白川又川へ」と答えると
「釣りですか」というので
沢登りですわ」と言うと
「一人ですか?気を付けて。僕も大栂山周辺を歩いてきます」とニコニコ笑って去っていった
 
早朝からフレンドリーな関西人に元気をもらったので
こちらも負けじと出発
林道をしばらく歩き
モノレールの残骸がある辺りから林道を離れ植林地帯を登っていく
5年前より下草が伸びて歩きにくい
確か、でかいボルダーがあって、その下に踏み跡があったはずと思い
斜めに上がっていくがボルダーは見つけられない
適当にジグザグに上がっていくと突然林道に出た
地形図には書かれていないので新しく造られたのだろう
しかしどちらに進めばいいのかが分からない
一度は反対方向に進んでしまい
標高差で100mぐらい降りてから
こちらではないだろうと思ってUターン
やっとのことで地形図に書かれている大栂山南側の林道に合流
結局1時間以上無駄な林道歩きをしてしまった

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この古い林道に出るまでに時間がかかった

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大栂山南側の林道はさらに崩壊が進んでいた
地形図に書かれている終点近くのカーブから南の尾根に入る
ピンクのテープが親切にもつけられていた
この尾根は850mから西向きに降りていくが
つい南向きの支尾根に入ってしまいそうな場所が何ヵ所かあった
何度か戻ったりしながらもフジノトコまで歩いて降りられた
そこで沢登りのウエアにチェンジ

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黒いものがウヨウヨしていると思ったら、脚がはえかけたオタマジャクシだった


最初こそ河原歩きだが
すぐに淵の泳ぎが出てくる
中ノ又谷出合手前にある淵は30mぐらいの泳ぎを強いられる
前回は最初、ザックを背負ったままで行こうとしたら水流が強く断念
ザックを置いて、ロープを引っ張って泳いだが
足にロープが絡まるトラブルもあり死ぬような思いをした
今回もここが核心だろうと思ってきたが
水が穏やかでザックを背負ったまま中ノ又出合に泳ぎつけた
しかし岩場は全体に前回より滑りやすい
同じステルスソールなのに、、、

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前回渡るのが大変だった淵。今日は水が穏やか

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中ノ又谷出合

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火吹谷出合






そこからも何度も泳がねばならず
体が冷え切って震えが止まらなくなったころ
火吹谷出合に着いた
出合はゴルジュになっているが意外に小さい
しかし水はぬるめで
少しずつ元気が戻ってきた
いくつか滝を越え
左岸に大きな岩小屋がある場所を過ぎると
その先に巨大な滝がはるかに見えた
時間は午後3時
あの大きな滝を越えるには時間がかかりそうなので
左岸にちょうどあった台地で泊まることにした
薪もそこそこあり快適だった

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上流に大きな滝が見えた

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快適なテン場



24日
翌朝はまったり出発
最初の5mぐらいの滝は登れそうだが
完全に水浴びすることになるため
朝イチということもありパス
左右両岸どちらからでも巻けそうだが
片っぽは上の大きな滝まで巻いてしまいそうなため
反対側から巻いていき大滝の下に出た
高さ60~70mはありそう
もちろん登れないので巻いていくが
3級ぐらいの岩登りや
高度感のある岩棚トラバースなどが出てきてなかなか微妙
その上、大滝の上には歩いて降りられず
25mぐらいの懸垂をした

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大滝の上もゴルジュ
5mぐらいの斜瀑は左の壁を登っていくが滑りやすいため
黄、赤、灰の3つのエイリアンをかけながら上がった
しかしその上のハングした滝は絶望的で、周囲も岩に囲まれて登れそうにない
いつもトポは持たないためどこから上がったら良いのかわからない
悩んだ末
今登った滑りやすい岩を再びエイリアンをかけながら下ったが
懸垂したほうが安全だった
結局、5mぐらいの斜瀑とその先のハングした滝を大きく巻いた

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エイリアンをかけながら上り下りした滝
その先2、3の滝を越すと流れは緩やかになった
ヒグラシがしきりに鳴いて
広葉樹の緑が美しい別天地
こんなところで泊まってみたいもんだ

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別天地



そこからは左岸に支流を2本分けた後
5mぐらいの滝を4、5本登ったり巻いたりしていくと
だんだん急傾斜になり
水流がなくなるころに適当に斜面を登ると稜線に着いた
そこで乾いた靴と服にチェンジ

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1516mピークは草原状で、振り返ると八経ケ岳などが見えた

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気持ちの良い1516mピークにて





草原上で気持ちの良い1516mピークを越えて南東方向の尾根へ
1289mピークの先で左斜面したに林道が見えてくるので斜面を突っ切って林道へ
そのままゲートまで歩いた
 
 

中ア 天竜川水系中田切川大荒井沢 20210716~17

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【形態】単独

【対象】沢登

【場所】長野県駒ケ根市の天竜川水系田切川大荒井沢~空木岳(2864m)

【特徴】滝場までの河原歩きが長かった。上流部は、蚊なのかハエなのか分からないが、大量の小さな虫が体の回りを飛び回り、目や耳や口に入ってくるので非常に不快。2000m付近にある巨大な滝を越すと、水際しかテントを張れる場所がなく、しょうがないので避難小屋まで上がった。

【日程】2021年7月16~17日 

16日 林道中田切川線ゲート(1050m)5:40~6:20荒井沢出合~9:00小荒井沢出合~12:30大荒井沢出合~13:40巨大な滝下~17:00避難小屋(2520m)

17日 避難小屋4:40~5:20空木岳頂上5:40~8:10マセナギ(1980m)~12:00林道ゲート

 

16日は梅雨明け初日

林道中田切川線は終点間際で崖崩れが起きており、擁壁の工事中

工事現場を通って中田切川と荒井沢の分岐付近の河原に下りた

そこから延々と河原歩き

何度も徒渉して進んでいくが

水かさは深いところで股ぐらいまである

水流も激しく、足を取られないように気をつけて行く

沢が東西方向に流れる辺りでゴルジュっぽくなる

水が多いため迫力がある

1つの滝は真っ白な楕円形の岩がゴルジュにすっぽりはまっており

まるで恐竜の巨大な卵か何かのよう

あと100年もすると水流ですり減って

ダチョウの卵ぐらいになるかもしれないけれど、、、

そこは不安定なガラガラ斜面から巻いた

 

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水流は荒い

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巨大な卵がスッポリとはまった奇観


蛇行する川に沿って行き、真西に展望が開ける付近に小荒井沢の出合がある

左岸で初めての支流なので見逃すことはない

10mぐらいの滝がいくつかと、泳ぐと気持ちよさそうな淵が出てくるが

水がまだ冷たいので

できるだけ泳がないように、水しぶきを浴びないように登って行く

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右岸に小荒井沢の出合が見える

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水がグリーンに輝く

 

1600~1780mぐらいは幅広になり

中央部のインゼルで流れが二つに分かれていた

水流のある場所は岩を登ったり下りたりを繰り返さなければならず

インゼルの上を歩いて行った方が楽だった

途中で小荒井沢との分岐があり、大荒井沢方面へ

 

1780mで右岸に左俣を分けるが

そちらの方が大きな支流に見える

右俣はその辺りから急傾斜になり

間もなく巨大な滝

上の方はよく見えないものの

クラックがうまい具合に入っており登っていけそうではある

パートナーさえいれば・・・

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滝の片側は絶壁で絶望的なため

反対側の、とげのあるアザミが密生している斜面から巻いて行く

岩場を巻いて小さく上がろうとしたら

その上にも岩場があるのが見え

再び下りて大きく巻くことに変更

Tシャツから出た腕をアザミでギザギザにされながら小尾根の上へ

木を伝って急斜面を下り沢に復帰できた

巻くのに30分ぐらいかかった

 

そこからは5~20mぐらいの滝が無数に続く

後ろには駒ケ根市街地とその向こうに南アが見えて気持ちがいい

でもこの辺りから虫の襲来が始まった

テン場を探しながら登って行くが

夕立で水没しそうな小さな河原ぐらいしかない

時間が押してきたので

登るスピードを上げていく

ロープやガチャは使わなかった

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結局、ツエルトが張れそうな場所は避難小屋付近にしかなかった

薪は梅雨の長雨で濡れているものが多く

残念ながらたき火はできなかった

 

17日はまだ暗いうちに起床

夜はシュラフカバーだけでは寒く、よく寝られなかった

今日は朝から快晴

避難小屋からは登山道を頂上まで

最高の天気で気持ちが良い

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youtu.be

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影空木

 

 

下山は2000m付近まで一般登山道を下山

梅雨明け最初の週末のためか早朝から登ってくる人が多い

すれ違った人はトレランと一般登山者が半々

空木はトレランの人気コースなのか?

 

マセナギという看板があるところから

簫ノ笛山(しょうのふえやま)方面に笹を刈り取った登山道ができていた

その登山道をちょっと進み

マセナギのガラ場に下降

そこから荒井沢を下って行く

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マセナギのガラ場に下りて、荒井沢を下降する

最初こそザレの斜面で滑りやすいが

すぐに石や岩が主体になって歩きやすくなる

荒井沢には2~3mぐらいの滝が5つぐらいあるが

どれもへつったり、横の河原から巻いたりして下りていける

河原歩きにうんざりするころ

田切川との合流点に到着

流れに首まで漬かって汗を流した

林道の工事現場の人に「すみませーん」と断って通らせてもらい

林道を歩いて駐車地点に戻った

台高 櫛田川水系蓮川ヌタハラ谷 20210710

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【形態】単独

【対象】沢登

【場所】三重県松阪市櫛田川水系蓮川ヌタハラ谷出合~桧塚奥峰(1420m)

【特徴】これも5年前に友人と登ったことがある沢。水量豊富で水もぬるく、小滝の直登が楽しかった。

【日程】2021年7月10日出合(450m)5:00~12:00桧塚奥峰~東尾根1214m~出合

 

今日も午後の天候が不安定のため早出

7月も中旬になり、水がぬるくなってきて

シャワーを浴びながら登っても寒くない

梅雨末期ということで水量も豊富

この時期が最も沢登りらしいかも

小さいが水流が勢いよくグルグル回っている釜があった

これにはまったら抜け出られないかも

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youtu.be

下部の滝の多くは直登できる

左岸の崩れた斜面から落ちてきた倒木の山を越えると

大きな滝が見える

水量が多く迫力がある

左の壁を水しぶきを浴びながら直登

微妙なへつりとナメを越えると

巨大な滝にぶつかった

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左側の壁に水流が流れているのは水量が多い証拠。それでも登る

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youtu.be

 

確か、前回来た時はここで4人組の別パーティーに追いつき

滝をバックに写真を取ってあげたっけ

あれからもう5年もたつのかと、何か不思議な気持ちになる

この滝は登れないので

前回来た時とは逆の方向から巻くことにした

ナメをいったん下りて斜面に取り付くと立派な踏み跡があった

そのまま滝の上まで一直線

 

反対側から巻いた前回もそんなに悪い巻きではなかった

ほとんどの滝はトポとは逆の方向に登ったとしてもそれなりに巻けるものだ

 

 

その上も登れる滝が続く

しばらく行くと2段になった40mぐらいの滝

中段がハングしており水流は空中を飛んでいる

ハングしたに入って遊ぶ

その上流も登れる滝ばかり

ある滝のたもとでは直径3~4センチのカタツムリの殻を見つけた

中の住人はどこに行ってしまったのか?

タツムリの世界でも空き家が増えているのか??

 

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滝の裏に回って見上げてみる

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この家の住人(?)は留守のよう

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胸毛が黄色い10数センチの鳥が一生懸命えさを運んでいた。近くに巣があるようだ



さらに上にはハングした滝

これも巻く

左右に支流が多くなるが

地形図と高度計を見ながら適当に進む

すると30mぐらいの大きな滝

岩くず斜面から巻いていくと草原が広がる一帯に出た

本当に気持ちがよい

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最後の大きな滝

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滝の上には草原が広がる

そのまま斜面を登っていくと登山道に出て

右に行くと桧塚奥峰についた

この頂上は7、8回目になるが

いつもいつも気持ちがよい

 

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そこから東尾根を降りていき

途中から南方の支稜に出て間もなくヌタハラ林道

暑い日差しに照らされながら出合まで歩いた

今日も雨に降られることはなかった